六本木ヒルズにある森美術館を訪れました。
開催されていたのは「英国美術の現在史:ターナー賞の歩み展」。
19世紀に活躍したイギリスの国民的な風景画家・ターナーの名を冠した「ターナー賞」は現代美術界で最も重要な賞の1つといわれています。授賞式はテレビ中継され、翌日の新聞で受賞者が大々的に報道されるなど、英国の国民的行事となっています。
英国現代美術の流れをたどりながら、世界の最先端にあるアートの息吹や、「今」のロンドンの空気を感じることができる展覧会でした。
印象的な3人のアーティスト。
ヴォルフガング・ティルマンス:日常の何気ない一コマを写真で切り取り、無造作に展示するが、実は戦略的に被写体や展示も計算されていて、美しい空間を作り出しています。
デミアン・ハースト:「母と子、分断されて」は牛の親子をそれぞれ縦割りにしてガラスのケースに入れてホルマリン漬けにし、真ん中を人が通り抜けられるようになっている。生と死を一度に可視化した作品。
トマ・アブツ:すべての作品を48×38cmと決め、円や直線や曲線を自然に描き出した画家の個性が排除されたストイックな画面は、平面的と思ってよく見ると起伏があり実は立体的になっている。配色が絶妙で見ていて心地いい気持ちにさせてくれる。