大阪、梅田のHEP HALLで開催された森山大道写真展を見てきました。
森山大道は、粒子が荒れ、被写体がブレ、ピントがボケた「アレ、ブレ、ボケ」の写真で一躍有名になりました。今回の展覧会は1999年以降の数年間に訪れた街で撮りためたスナップショットを、その時間と空間をシャッフルさせて見せてくれるものでした。それは、我々が普段見ているようで見ていないリアルな「世界」を再認識させてくれました。森山大道の写真を「主観性が強い」「反写真的」「過激」などと形容しますが、森山自身は写真に対する抵抗とか特殊な技法といった意識はなく、言葉や観念を排除した生理的、感覚的なものとして写真を考え、一つの事物を目で見ることよりもその場の空気感や臨場感、事物の存在感を身体全体で感応する、そんな世界や人間に対する見方、考え方が必然的にノーファインダー撮影になって立ち現れてくるのです。
森山の感覚で切り取られた都市の断片は、森山がそこに存在した証であり、彼の生そのものであるような気がします。